■ ヤマビルとは?
ヤマビルはミミズやゴカイと同じ環形動物一種で、生物名をニホンヤマビル(Haemadipsa zeylanica japonica)といいます。ヤマビルは日本国内の陸上に生息するヒルの仲間のうち、唯一の吸血性ヒルです。ヤマビルはヒトを含む大型哺乳類の皮膚に付着して吸血するため、衛生害虫として扱われています。日本には岩手・秋田県以南の本州から四国、九州に生息しています。
■ 特徴
ヤマビルの体長は2~3cmです。体には伸縮性があり5~8cmに伸びます。また吸血すると1cm程度の太さになります。体は引っ張ってもちぎれないほどの弾力性があり、足で踏みつけてもつぶれません。体表には多くの感覚器(乳頭突起)があり、体温・炭酸ガス・振動・におい・温度などを感じます。さらに眼点が10個あり、明暗の感知や物の動きを識別することができます。
体の両端部には吸盤があり、前吸盤と後吸盤を使いシャクトリムシ状に歩行します。移動速度は1分間に1m程度といわれています。
前吸盤の中央には口器があり、口腔内に逆Y字状に3つの顎があります。
顎の縁にはのこぎり様の歯が70~80個並んでおり、歯の間からヒルジンという血液を固まりにくくする成分(血液凝固阻止物質)を出します。ヤマビルの寿命は1~2年と考えられています。
■ ヤマビルに血を吸われたら
慌てず、ヤマビルをすぐに指で取り除き、傷口を指でつまんでしっかりと血を押し出してください。無理に引き剥がしても歯が皮膚に残ることはありません。
ヤマビルは吸血の際に血液を固まりにくくする成分(ヒルジン)を出すため、血が止まりにくくなります(場合によっては数時間止まらないことがあります)。傷口は水や消毒剤で洗い清潔にしてください。
傷口には虫刺され薬やかゆみ止め薬(抗ヒスタミン剤を含む医薬品)を塗り、絆創膏(傷テープなど)を貼って止血してください。
これまで、ヤマビルに吸血されたことが原因で血液媒介性(肝炎、エイズなど)、土壌媒介性(破傷風など)の疾病に感染したという報告はありません。
■ ヤマビルによる吸血被害を防ぐには
ヤマビルの活動が盛んな時期は5月~10月頃です。晴や曇りの日には朝夕や夜間、雨の日や湿度が高い日は1日中活動します。
ヤマビルが多く出現する時期、天候、場所を知った上で吸血被害を防ぐ対策をしておきましょう。
<対策>
- 靴、靴下、ズボンの裾などに虫よけ剤やヒル避け剤(忌避剤成分としてディートを含むもの)を予め噴霧しておく
- けもの道や草むらを歩くのを避け、整備された登山道などを歩く
- ボタン等の隙間から肌が見えるシャツの着用を避ける
- できればシャツの裾はズボンの中に入れる
- 歩行時や休憩時には靴、ズボン、体にヤマビルが付いていないか確認する
参考: